塀をたどって表通りに出ると、そこは講談社野間記念館。
入口に、小さな張り紙がありました。
≪蕉雨園特別公開 邦楽への誘い≫
2013年12月5日(木)・12月6日(金)
午前の部 午前10時半〜 午後の部 午後2時〜(計4回)
募集人数 各回30名様 (先着順)
残り僅かです。
………
家に帰り、OZに話すと
「もしかしたら、リヒテル(ピアニスト)がライブ演奏をした場所?」というので
調べたら、やはりそうでした。
ー「タワーレコード・オンラインショップ」より抜粋ー
リヒテルが日本家屋で行なった幻のコンサートが日の目をみる。
リヒテル幻の東京リサイタル
録音嫌いだったリヒテルの芸術は、ライヴで味わうしか術がありませんが、最高の演奏が高音質で残されていました。
1984年3月27日に、東京都文京区にある蕉雨園で行われた「幻の東京リサイタル」。当時69歳のリヒテル円熟芸を味わえます。
蕉雨園は明治30年(1897)建造の宮内大臣田中光顕伯の邸宅だった純日本家屋。
ここを気に入ったリヒテルたっての希望でピアノが運ばれ、コンサートが催されました。このコンサートは一般公開ではなく、
招待客のみのごく小さなものでしたが、NHKが収録してテレビ放映され、非常な話題となりました。
ドビュッシーの前奏曲集第1巻から10曲も披露。全曲でないのが残念ではありますが、これだけまとめて、しかも高音質で聴く
ことができるのは、まさに奇跡と申せましょう。いずれも絶品なうえ、「西風の見たもの」などでは往年の凄まじいテクニック
を披露してくれます。
ハイドンの2篇のソナタも神業。あまりの凄さに曲の終りまで身動きもとれないほど。リヒテル最良の魅力と凄さを
あますところなく収めた、ピアノ音楽録音の宝の出現です。
発売日2013/12/31
【曲目】
1.ハイドン:ピアノ・ソナタ第24番ニ長調 Hob.??.52
2.同:ピアノ・ソナタ第32番ロ短調 Hob.??.32
3.ドビュッシー:「前奏曲集第1巻」〜デルフィの舞姫たち/帆/野を渡る風/音とかおりは夕暮れの大気に漂う
/アナカプリの丘/雪の上の足跡/西風の見たもの/とだえたセレナード/沈める寺/パックの踊り
4.同:「映像第1 集」〜水に映る影
【演奏】
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
【録音】
1984年3月27日 蕉雨園(東京都文京区)ライヴ
STEREO
あの蕉雨園の門の中へ…。
日射しを浴びて 紅葉がひときわ鮮やかです。
写真撮影は、NGなので拙い文でご案内します。
まずは、庭園を散歩。
起伏のある地形を利用した庭園は、湧き水のある池が谷底に見え
まるで武蔵野の林の中に紛れ込んだかのよう。
車の音は聞こえず、時折小鳥のさえずりが聞こえてきます。
目白に、こんな雄大な庭園があるとは
思いもしませんでした。
蕉雨園は、入母屋造りで、唐破風の玄関は重厚な雰囲気。
正面玄関の左右には、花頭窓。寺院にみられる、火の形で 釣り鐘のようにも見えたりします。
玄関の側に、待合のような洋間があり、その奥に応接室の洋間があります。
外観は和風ですが、洋間があるのにはちょっと驚き。
寄木細工の廊下が続きます。
客間は、折上格天井の書院造り。
華やかな竹林の絵を描いた帳台構えもあります。
床を背に、並べられた座布団に座り待つと
さーっと窓が開け放たれ、庭の景色が広がりました。
紅葉の庭を借景に
邦楽「京鹿子娘道成寺」を鑑賞。
折しも 体調が悪く薬を服用中のため
しばらくすると 瞑想しだして
冷や汗が。
風が冷たく 体が消えきり 頭のなかも真っ白。
鼓の音が いつまでも響き渡って聞こえました。
幽玄なロケーションに
邦楽の組み合わせ。
もてなす気持ちが伝わってきました。
明治30年に建てられた建物は
移築されることなく、同じ場所にあるという。
周囲の樹木は育ちすぎて、その全容をみることを阻んでいるかのよう。
普段非公開なのが 残念です。
ただただ 驚きのひとときでした。
リヒテルのライブ演奏CD、聴いてみなくちゃ。
所在 東京都文京区関口2
2013.12.6